せっかく歯列矯正をしたのに「後戻りして、歯がガタガタに」、「噛み合わせが動いてうまく噛めなくなった」、「矯正後に歯が戻って体調が悪くなった」といった後戻りのトラブルに悩まされる人がいらっしゃいます。
症状がひどい場合は「2度目の矯正」が必要になるケースも少なくないのです。
残念ながら、人にもよりますが、歯列矯正での後戻りを100%防ぐことはできません。
ではどうすれば後戻りのリスクを最小限にすることができるのでしょうか?この記事では”後戻りのメカニズム”と”後戻りを防ぐ方法”について具体例を挙げながら書かせていただきます。
後戻りについては”歯科医はあまり触れたくない内容”です。
なぜなら後戻りは人によって差があり、原因をつかみきれていないのが現状だからからです。
①.後戻りが起こるメカニズム
②.後戻りを防ぐ方法
①.後戻りが起こるメカニズム
歯列矯正では「骨がある場所に歯の根を移動させてゆく」ことで歯の位置を動かして行きます。
歯の移動中は、顎の骨の吸収と添加というプロセスが絶えず行われているため、歯列矯正が終わって直ぐは歯の周りの骨は吸収されて十分に硬化していません。
矯正直後は「歯を元に位置に戻そうとする力」が「歯根膜」にかかっており、後戻りを起こしやすい状態になっています。
それ以外の後戻りの原因には「歯ぎしりや噛みしめ(ストレスが原因)の力で移動する」、「ストレスエネルギーが骨の歪や歯の移動を引き起こす」などがあります。
ストレスエネルギーが骨の歪や歯の移動を引き起こす?と聞くと、西洋医学的には理解が難しいと思います。
東洋医学では、「氣」という生命エネルギーが、全身に廻っている経絡という目には見えないが、血管や神経のような通路を通っているといわれています。これらの経絡がストレスによって流れをせき止められると、筋肉が緊張してきます。それが骨を歪ませる原因となって歯の移動を起こすのです。
こう考えるとストレスエネルギーが後戻りのメカニズムに関与しており、後戻りのメカニズムを西洋医学的見地だけでは説明できないわけです。
敏感な体質の方の場合、このような氣が影響を受けやすく歯が移動しやすいといえます。
②.後戻りを防ぐ方法
後戻りを防ぐ方法は次の2つです。
1、後戻りしにくいリテーナーを使う
当院では「OSAMU式リテーナー(下写真)」を採用しています。歯と歯列全体を覆うので後戻りが起こりにくいです。
「硬い板と柔らかい板を組み合わせた薄めマウスピース状の構造」で装着感が良く、「歯ぎしりを防止するマウスピースとしての役割」も兼ねるため、歯にかかる力も分散させてくれます。
後戻りを起こしやすい人の場合、OSAMU式リテーナーを「治療後2年間は食事の時以外のほぼ24時間」その後も「最低限寝ている間」は装着しておく必要があります。
また「ストレスが多くかかった時は、できるだけ長時間装着する」必要があります。
このリテーナーは約5気圧で模型に圧接した柔らかいマウスピース用の板の上に硬いプラスチック製の板を5気圧で圧着して作られます。
(上、使われる2種類の板、下、製作にはバイオスターを使います。)
リテーナーには様々な種類のものがありますが、「歯列全体を最も緊密に覆っている形状のもの」はOSAMU式です。
敏感な患者さんの場合「ごく一般的なリテーナーをしていても後戻りした」といったトラブルがあったため、当院ではOSAMUリテーナーを採用することにしたのです。
また「全くリテーナーをしていない」事で後戻りして再矯正になる患者さんは少なくないのでリテーナー装着は必須と言えるでしょう。
OSAMU式リテーナーの特徴
1、歯列全体を緊密に押さえるので、個々の歯の移動を防ぐ機能が優れている。
2、噛み締めの力から歯を守り、歯のダメージを防ぐ。
OSAMU式リテーナーには下記のような注意事項があります。
1、リテーナーをしたままだとしゃべりにくい
2、噛みしめが強いと割れることがある
また、エンパス体質の様な敏感なかたは、ストレスを管理する必要があります。
3、食事の管理、体調管理
治療終了直後は歯が移動しやすいので硬いものは避ける必要があります。
骨が固まるまで約半年間までは食事は徐々に硬いものにならしてゆく必要があります。
ところで、後戻りのしやすさは体質によっても変わってきます。
体にかかる「ストレスエネルギー」に特に気を付ける必要があります。
治療終了直後はできるだけ無理をしない、身体に影響のある悪い環境を避けるなどの対策が必要です。
このような悪い気のエネルギーを受けると「身体がダメージを受け」、「歯も移動を起こしやすく」なるからです。