「歯医者さんはどんな感染対策をおこなっているのかな?」とか「歯科医院で感じる独特のにおいやあの雰囲気は一体何だろう?」このようなことに疑問を持ったことはありませんか?。
実は歯科での治療はすべてが外科処置、つまり、毎回手術を行っているといえます。ですからかなり高いレベルの感染対策が要求されるのです。
今医科でも開腹による外科手術は非常に少なくなってきています。
そんな傾向の中で、ほとんどが外科治療といえる診療科が歯科といってもよいでしょう。
例えばメインテナンスと言って歯石を取ってクリーニングするだけでも外科レベルの感染対策が必要なのです。
患者さんにはなかなか実感がわかないと思いますが、感染対策にはレベルがあります。
この記事では「歯科医院が感染対策をどこまで行っているかを知るため」に、「歯科医院のどこを見ればよいか?」について書いてゆきます。
感染対策のレベルが歯科医院の治療レベルと直結しているというのは歯科関係者の常識であり、感染対策のレベルが低い歯科医院で治療を受けたくないのは皆さんの共通認識ではないでしょうか?
感染対策の意識が高い先生であれば、治療技術のレベルも高いといっても差し支えないと思います。
何故そんなことが言えるかというと、私どもが10年以上にわたって受けてきたISO9001(2004年~2015年迄)のサーベランスで、歯科の特徴として最も重要視して審査された内容が「感染対策」と「治療結果のフィードバック」だったからです。
そして感染対策のレベルが上がるほど、治癒率が高まったからです。
そして感染対策には「押さえておくべきポイントが多い」ことも知りました。
歯科医院に行って下の3つのポイントがしっかり押さえられていれば、感染対策だけでなく歯科治療技術に対しても信頼がおけると私は確信しています。
①.臭いからわかる医院の本当の清潔度
②.水が変える感染予防?
③.ユニットテーブル、スピットンをみる
①.臭いからわかる医院の本当の清潔度
歯医者さんの独特な消毒臭、これは、消毒剤を使うから仕方がないものと勘違いしていませんか?
多くの歯科医院では、「次亜塩素酸ナトリウム」、「塩化ベンザルコニュウム」、「グルタールアルデヒド」などの体にも影響が強い薬剤が使われています。
これらの薬剤は独特の臭気があり、歯科医院に行くとよく嗅ぐ匂いです。
しかし、最近では消毒薬でありながら、匂いもなく、身体にも害のない次亜塩素酸水(機能水)というものの生成法が進歩してきました。(私どもの医院では2024年に最新のものに入れ替えました。)
次亜塩素酸水は、「優れた殺菌力を持ちながら消毒薬のにおいはほとんどしません(次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの殺菌効果の比較に関する厚生省のデータはこちら)」。
歯の治療時で出る材料や虫歯のにおいも次亜塩素酸水で衛生的に管理すると消えることがほとんどで、しかも塩と水だけで生成されるので、安価で安全でこれほど便利なものはありません。
患者さんの中には口臭が特にひどい人がいます。
お口を清潔に保てていないことは原因の一つです。
しかし、口臭には、口の臭いだけでなく胃や肺から出てくる臭気が大きく関与しています。
糖尿病の人はケトン体による臭い、胃や肺に健康上の問題がある人からも強い臭気が発生します。
特に喫煙者の臭いは「治療をする気力をそがれるほど」ひどい口臭と体臭と混ざった臭気があります。
健康状態が悪い人は口臭もひどく、「自分の体調管理が不十分である人ほど体臭も口臭もひどくなる」のです。
歯科治療がきちんと行われ、体調もきちんと管理してくれると、自然に口臭はきえてゆきます。
通院される患者さんの意識レベル高くなっていただくことが、治ってゆくのに重要な要素の一つであると考えるからです。
②.水が変える感染予防?
歯医者さんでは「歯を削る」際、「口の中を洗浄する」際に頻繁に水が使用されます。
使われる水の質はとても重要です。
水質は歯科医院の場所でまちまちであるため、歯科治療で使用する水を確実に管理する必要があるわけです。
通常の歯科医院では、「ユニットに使われる水は水道水」です。
しかし、水道水の殺菌力は弱く、歯科用ユニットのような特殊な構造の中で使用されると、様々なところで白カビが発生することが知られています。
これを揶揄してアメリカでは「トイレの水より汚い歯科医院の水」と言われていました。
番町D.C.ではこのような問題をクリアするために、20年以上に渡って次亜塩素酸水をユニット内に流してきました。
しかし、次亜塩素酸水にも作る器械によって質がまちまちでした。
その中でも現在生産されている業務用次亜塩素酸水生成器の中で最も性能が優れた「三室式の次亜塩素酸水生成器」で作られた次亜塩素酸水は塩分がほとんど含まれません。
このような次亜塩素酸水では、抗菌、抗ウイルス効果の持続性が高く、味もほとんどしない上、金属部分に錆びを生じず、効果が長持ちする特性があります。
従ってユニットに流す次亜塩素酸水としては最も相性が良いのです。
現在歯科用で使われているほとんどの次亜塩素酸水は、無膜式(一室式)もしくは一膜式(二室式)の生成器で産生された次亜塩素酸水です。
したがって塩分が多く混ざっていて味が悪く、機器の故障を引き起こしやすかったのです。
一室式もしくは二室式の次亜塩素酸水生成機で作られた次亜塩素酸水は、患者さんが感じる味がわるく、歯科用ユニットに流すためには中に通っているチューブや接続部分をすべてフッ素加工や錆対策をしたのものに交換する必要があり、莫大なコストがかかります。
番町D.C.では最新型の三室式の次亜塩素酸水をボトルシステム(ユニットにボトルから水を供給するシステム)を使って流すため、高額なコストもかからず、故障時の対応も非常に楽に行えるのです。
次亜塩素酸水は、有機物に接触して酸化させると水に戻ってしまいますので、体に対する害が殆どない上、下水に流しても環境を汚染することがありません。
③.ユニットテーブル、スピットンをみる
ユニットテーブルには必要最小限のものしか置か無いことが鉄則です。
薬剤や薬液は必要時に用意する必要があります。
またバーなども毎回滅菌される必要があるのでテーブルの上に置かれたままだと清潔なものとは言えません。
上の写真のような光景は今後なくなってゆくと思います。
下の写真のようにシンプルに必要な器具だけが置かれ、可能であればディスポーザルのペーパー(水を透過しないタイプのもの)で包まれそれを広げた上で作業されることが望ましいのです。
また、スピットンという口をゆすいで吐き出す部分は非常に不潔です。
アメリカではスピットンが無いユニットが一般的で、番町D.C.では10年以上も前からユニットにはスピットンが付いていません。
時代とともに感染対策のレベルは変化してきます。
その変化に対応できないと、治療自体の結果にも差がついてしまうのです。