本当のアメリカの歯科事情についてはご存知の方は少ないと思います。
私もアメリカの歯科医院を見学をした経験はありますが、治療までは受けていません。
そこでアメリカの歯科大出身の先生から聞いた驚くべき事実を書きたいと思います。
30年近くも前で状況は違っているでしょうが、今で埋まらない考え方の差があります。
アメリカは格差社会と言われますが、健康管理の、格差も想像を絶するものがあります。
医療もレベルの差が激しく、歯科医は同じレベルの専門医同士を紹介する仕組みです。
アメリカの大学ではレベルのランキングが公表され、高ランキングの大学は授業料が高額で卒業も難しいです。
日本と違い高ランキングの歯科大で優秀な成績を納めた先生は、患者さん獲得に困っていないようです。
簡単には予約が取れないほど繁盛しているとのことです。
アメリカの超一流と呼ばれる歯科医はピラミッド構造の頂点に立ち、おおむね200名程度といわれています。
そのような先生は紹介患者さんしか診ません。
治療も歯と口の機能を正常に戻すことと、歯の状態を悪化させないことに徹しているので、メインテナンスと、不具合が出た場所の修復や、やり直しだけで十分経営が成り立つのです。
審美歯科やインプラントなどには興味がありません。(健康を預かる専門家として、審美を求めて治療を行うことの危険性を十分理解しているということです)
おおむね初診の予約から実際の治療を受けるまで1年以上かかる場合もまれではありません。
現在治療中の患者さんが終了しないと次の患者さんは新しく入れられないシステムとなっているようです。
また、そのような高いレベルの歯科医院では、「痛い」といった急性の症状の患者さんは診ないのが特徴です。
患者さんも普段から定期的にメインテナンスを受け、その都度劣化した材料や、問題を起こしそうな歯は前もって治すという高い意識を持った患者さんだけで構成されます。
「痛い」といった緊急の場合、日本のようにいきなり電話して診てもらうことはできず、救急外来で見てもらうというのが普通であると聞きました。
アメリカで本当にレベルの高い先生はお金には困っておらず、アメリカで公演をするだけでも十分多忙です。本物の凄い先生が日本の公演にくることは殆どないのです。
超一流の先生のメインの治療は修復治療で、アマルガムや、グラスアイオノマー、といった修復材料をいかに適切にそして歯を痛めないように詰めるかが腕の見せ所と言えます。
特にアマルガムは、歯科の修復技術の中でも最も技術で差が出る必要で、これをアメリカの大学で徹底的に仕込まれ、腕をあげてきた先生が多いです。
本物の先生は基本的にレジン充填が好きでないです。(最近レジンを詰める先生が多くなりましたが)。
見た目より、いかに歯を損傷せず、確実に機能を回復するかを重視します。ですからアマルガムとゴールドによる修復は基本中の基本と言えます。
アメリカでの総入れ歯に関していうと、総入れ歯を作成する技術は何十年も前にすでに完成しています。
特殊な人工歯によるリハビリテーション用の入れ歯を作ることで、噛むと不安定に浮き上がってしまうことや、その結果入れ歯が当たって痛むといった、入れ歯を使う人にとって最も嫌がるポイントを完全にクリアーできるのです。
当院でもその技術を踏襲しています。
アメリカの一般の患者さんも勉強している方は、きちんと治療を受けるために審美性よりも材料の耐久性や治療の効果を重視する傾向があります。
私の20年ほど前のイメージでは、歯科医師は常にアメリカの子供のなりたい尊敬すべき職業の1位か2位にランキングされており、患者さんのためになる治療しかしないというスタンスを持つ方が歯科医に敬意を払う人が多かったと記憶しています。
しかし、最近では、気高かった歯科医もお金を稼ぐことを効果的な治療より優先させる傾向が強くなり、たとえアメリカの歯科医でも自分の歯を完全にお任せできる歯科医は減少傾向にあるようです。
アメリカの感染対策は完全な一つのシステムになっており、アメリカ中のほとんどの医院が同じシステムで運用できるよう医院の滅菌コーナーが設計されていました(見学に行った際実際に見せていただきました)。クラスBオートクレーブは入っているのが当たり前で、タービン、エンジンの滅菌はクラスBで行われますし、感染予防のビニール掛けもしくは毎回の消毒薬の清拭、ユニット内を流れるの水の管理は徹底していました。
アメリカの感染対策や診療のシステムは明らかに日本の一般的なものと異なります。
IMSシステムは、効率的で患者さんにも、スタッフにも、そしてドクターにとっても、効率と安全性を兼ね備えた最高のシステムで、ほぼすべてのアメリカの歯科医院で当たり前に採用されていますが、日本で完全に採用している医院は非常に少なくおそらく数件程度だと思います。
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