本当のアメリカの歯科事情についてはご存知の方は少ないと思います。
私もアメリカの歯科医院を見学をした経験はありますが、治療までは受けていません。
しかし、アメリカの歯科大と大学院を卒業した先生からアメリカの本当の歯科医療について何度も話を聞いた経験から日本で聞けない真のアメリカの歯科に触れたいと思います。
30年も前の話ですが、技術的な内容はもちろん、医療人としての倫理観としても埋まらない日本との違いの興味深い部分を取り上げたいと思います。
アメリカは良くも悪くも格差社会です、医療レベルの格差は日本人には想像できないほどです。
治療レベルの差は治療費にリンクしており、日本のように皆保険のような平等という考えはありません。
医療に関しては私はアメリカの医療は異常だと思います。
金額が高額すぎて軽い症状でかかれませんし、破産者の66%が医療費による破産だそうで、あまりにも料金が高すぎるのも考え物です。
金額といった意味では日本の医療はかかりやすいシステムになってますが、費用対効果は低く、無駄な医療費が多く、社会保険料が国民を苦しめる結果となっており、安いということで患者さんに甘えが生じ、自己管理を怠っている人に限って保険診療によるメリットを享受しながら治療費用が高くなることに反対します。
本来、保険とは利用額が高くなれば保険料も上がるのが普通です。その考え方が日本には欠けていて、それが甘えに繋がるのだと私は思います。
ところでアメリカでは歯科治療は予防医療としての意味合いが強く、歯科医は医師より信頼が厚い職業といえます。
治療費も高額ではありますが、きちんと歯を大切にメインテナンスすれば身体の病気も防ぐことができるという考え方が広まっています。
高額とはいっても破産するほどの金額ではないのも重要です。
歯科大は毎年ランキングされ、人気の大学の教育の質は高く学費も高額になります。
優秀者は開業で患者には困らず、多忙でも経済的にさほど恵まれない日本とは違います。
アメリカの超一流の歯科医はピラミッド構造の頂点に立ち、200名程弱といわれてます。
これらの先生は旧来のチェックアップ患者だけで予約は埋まり、新規の患者さんは順番待ちだそうです。
本当にレベルの高い歯科医の治療の主体は小さな虫歯、詰め直しなどの修復治療(Operative Dentistry)です。
レベルの高い歯科医院にはレベルの高い患者さんが集まるのでチェックアップを必ず受けます。
その為根管治療はインプラントにまで至るケースは少ないといえます。
治療を受けるにも紹介が必要な場合がほとんどで、治療を受けるまで1年待ちもざらです。
アメリカでは基本的に痛いなどの緊急患者は受け付ず、救急外来に回されます。
患者さんの歯科に対する意識は高く、定期的メインテナンスと早期治療が中心です。
そのようなレベルの高い先生は日本の歯科のレベルを知っていて、国内の公演依頼は受けても日本での公演は避けるため日本の歯科界でもあまり認知されていません。
皆保険制度の中で、いかに点数をあげるかに汲々としている歯科医に、アメリカの高いレベルの治療の話をしてもレベルの差が激しすぎて意味がないことを理解しているからでしょう。
アメリカ人も日本の事情に詳しい人は日本の歯科の「感染対策」や「治療の杜撰さ」を知っていて大抵本国で治療を受けてから来日します。
私もアメリカのユニットの感染対策を知ってから、日本での治療を受けるのはとても怖くなりました。
上の写真は2,008年のアメリカデンタルショーと同時にエーディック本社の見学した際に撮影したチェアーと配置図。
アメリカでは感染予防システム、4ハンドシステム、滅菌システムが完成しており、ほとんどすべての歯科医院が同じ配置で設計されています。
アメリカの一般的チェアーと滅菌システムのの配置
治療スペースと滅菌スペースが、効率よく配置されており、器具の消毒滅菌、治療のサイクルがスムーズに行われるように設計されている。
アメリカではアマルガムは「歯科治療の教科書」と呼ばれており「虫歯を取り除く」、「適切な形態に仕上げる」、「解剖学的歯の形態を作り上げる」といった虫歯治療に必要なすべての基本技術を網羅する治療です。
アマルガムは修復治療の中でも技術の差が大きい基本治療として徹底的に仕込まれまれるわけです。
前歯や神経に近い根元の治療では白くて刺激の少ないグラスアイオノマーが使われます。
奥歯では機能回復と耐久性を重視し、アマルガムやゴールドといった金属が使われます。
総入れ歯は技術的には完成されていて、はじめにリハビリ用入れ歯を作るのが基本です。モノラインという咬頭がない歯を使い、総入れ歯のありがちな不安定な噛み合わせによる浮き上がりを防くためです。しかしこれも技工操作が重要で、私もアマルガムの技術と共に、この技術を徹底的に仕込まれました。
当院でもその技術を踏襲しています。
一般の患者さんは良好な治療結果が出る材料の使用や治療技術で通院先を選びます。
私の20年ほど前のイメージでは、歯科医師は常にアメリカの子供のなりたい職業の1位か2位にランキングされていました。
歯科医は治療をするスタンスを持つので敬意を払う人が多かったようです。
最近では、歯科医も経営優先の先生も増え歯をお任せできる歯科医は減少しています。
見学もしましたが、感染対策と診療システムが一体化した設計になっており、考え方はどの歯科医院でも同じでした。
20年以上前からクラスBオートクレーブが入っていて感染予防のビニール掛けや毎回の消毒薬による清拭、ボトルシステムによるユニット内チューブの消毒は基本の仕様でした。
アメリカの感染対策や診療のシステムは明らかに日本の一般的なものと異なります。
IMSシステムは、効率的で患者さんにも、スタッフにも、そしてドクターにとっても、効率と安全性を兼ね備えた最高のシステムで、ほぼすべてのアメリカの歯科医院で当たり前に採用されています。
日本でまだ採用している医院が少なく残念です。



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