ラバーダム防湿とは?

外科手術では覆布を掛けますが歯科ではラバーダム防湿による感染予防が行われます。

 

自由診療ではラバーダム防湿は一般的ですが、保険診療で行われることは稀です。


①感染から歯を守る

唾液の侵入を防ぎ、歯の感染と切削粉の飲み込みを防ぎます。

②.切削機器から保護、飲み込み防止

高速切削器具の粘膜損傷を防ぎ、材料、器具の落下による飲み込み事故を防止します。

③.術野をクリアにする

ラバーダム防湿で、術野がクリアで虫歯の染め出しも明瞭で治療の精度と効率がアップ。

④.水分から守る

歯と材料の間の水分侵入、材料劣化の防止。

⑤.恐怖感からの解放

麻酔下のラバーダム防湿は患者さんを治療の恐怖から解放。安心して眠ってしまうことも。


写真で見るラバーダム①

(歯の治療、WSD、ブリッジ)

通常は10本法でラバーダムがかけられます。(左)、歯頚部(歯の根元)治療の時のラバーダム(右上)、ブリッジの時のラバーダム(右下)

修復治療では10本歯を露出させて治療します。(左)

 

歯の根元の治療では専用のクランプを使います。(右上)

 

ブリッジの際はラバーダムを切るか、フロスで結んで防湿します。(右下)


写真で見るラバーダム②(WSD)

根元の虫歯治療を行う場合(WSDと呼ばれる歯の根元のを修復する時のラバーダム防湿)

WDSの治療、WSD専用のクランプを使い、RIVAを充填、メスで仕上げます。

WSD専用のラバーダムクランプをかけ、RIVA(GI)を充填、メスで形を整えます。


写真と図で見るラバーダム③(根管治療)

根の治療を行う場合のラバーダムのかけ方。根の治療の時、かぶせ物を完全に取り除いてはいけない。

根管治療での正しい歯の削り方。詰め物を完全に除去してはならない。歯の周りを残すのが鉄則です

感染を防ぐため、歯の周りが残るように修復物を残して根に到達するの穴をあけます。


詰め物を外さず、咬合接触部分は削らない

修復物を削り咬合接触をなくす根管治療は、米国では通常行われません。咬合崩壊につながるからです。


 ※咬合崩壊・・噛み合わせが崩れること

このような不適切な治療で噛み合わせに問題が起きた場合、米国では訴訟の対象になります。


日本の保険診療の根管治療はほぼ100%ラバーダム防湿が行われない理由は、世界的な歯科の常識では考えられない低い保険点数の評価によるものです。


歯科医をすべて責めるだけでは解決しない問題です。根本の原因は厚生労働省と国の制度にあることを知っておくべきでしょう。


世界的には歯科は保険制度に組み込まれないのが一般的です。


歯科治療は健康維持のための予防治療的な要素が強いうえ、技術的な差が激しく、料金の差も大きいためです。


日本は、世界的にも稀に見る保険制度があり、これが却って歪んだ構造を生み、自由診療は審美、普通の治療は保険で行うという誤った常識を長い間人々に信じ込ませてきました。


これからは健康をむしろ害する審美治療を行う医院は淘汰され、健康のためのあるべき本物の自由診療が行われる時代になると思います。

米国では修復物は外さず治療が行われます。修復物を外すと、感染のリスクと咬合の崩壊のリスクを増加させることになります。

かぶせ物を外して根管治療を行うとラバーダムの防湿性が失われ治療の成功率は下がります。