このような症状になってしまう前の軽い症状のうちに対処したいものです。
ここでは私の経験と知識を生かした応急の対処法について解説してゆきたいと思います。
1.割り箸やガーゼを噛んだ対処
割り箸やガーゼ、コットンのように厚みがあり、ある程度の硬さのあるものを歯と歯の間に挟みます。
カラダと顎のバランスが取れた位置で挟むことができれば、カラダと顎の不均衡は取り除かれます。
コツとしては、両方の奥歯が均等にしっかり噛むように割り箸を挟み、軽く噛んだまま顎や首に症状が出ている側とは逆方向に顎をずらしながら前に突き出します。
少し症状が和らいできたら、噛む力を弱めて頬の筋肉(咬筋)や側頭部(側頭筋)、首の筋肉をマッサージします。
この方法で大抵の首こり、肩こりがやわらぎますが、位置をずっと保持することが難しく、食事をすれば元の位置に戻りますし、心身の症状を抑えるまでは難しいようです。
2.お風呂で筋肉をマッサージ
お風呂で身体をリラックスさせ、顎や痛みのある場所をマッサージしましょう。首こりや肩こり、首の痛みや手の痺れの原因の多くは、筋肉の凝りが原因です。
特にストレスが多かった日は、ぬるめのお湯にゆったり浸かりながら、バスタブの角に首を預けて、首をあてがいながら頭を左右に揺らして首回りをほぐしましょう。
さらにアロマを炊けば効果は高まります。ただし妊婦さんには禁忌です。
風呂上がりには首回りの筋肉がほぐれ、頸椎の歪みが改善し、一時的ですが自律神経の症状を軽減させることも可能です。
ただし、噛み合わせが治っていなければ筋肉はまた固まり、頸椎が歪むと再発するので根本的な原因除去にはなりません。
3.ツボ押しで経絡の流れを改善
東洋医学では「気」と呼ばれる生命エネルギーの通り道を経絡と呼び、経絡上のエネルギーが出入するポイントをツボと呼びます。
経絡は目には見えませんが、線路のように全身に張り巡らされています。
メインで12本あり五臓六腑※の機能を司ると東洋医学では考えられていて、頭頸部には8本もの経絡が流れています。
私は、顎関節症による顎や首の不具合が引き起こす緊張によって頭頸部を通る経絡の流れが遮断され、五臓六腑の機能が低下し、全身の不調が起こると考えています。
経絡には一本一本五臓六腑の名前が付いていて、その名前で遮断されることで起こる不具合は決まります。
経絡上にあるツボは、経絡ごとに大体の効果は決まっているのです。
今回は詳細については省きますが、顎関節症で首凝りや肩こりがひどい場合は、「風池」、「天柱」、「肩井」、「合谷」などがあります。
自律神経失調症や鬱などの症状には、「内関」、「百会」、「神門」、「太衝」などがあります。
これらは全身の不具合まで整えてくれる場合もあります。
しかし、顎関節症を東洋医学の手法だけで完治させることも難しいと言えます。
完治を望むのであれば、顎とカラダのバランスの不均衡が身体に影響を生む仕組みをよく理解され、東洋医学の知識もある先生に相談するのが良いと思います。
当院でも顎関節症の術前カウンセリングを実施しており、オンライン上で症状と経過を伺い、噛み合わせや歯の状態、顔や舌を見させて頂くことで顎とカラダのバランスや東洋医学的な体質を見極め、治療についてのアドバイスを差し上げることが可能です。
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