歯科用顕微鏡(OPMI PICO)
当院は2,004年にOPMI PICOを導入しました。当時は各区で1台程度の普及率でした。
顕微鏡下での根管治療は、拡大した鏡像で100μm以下の精度で行う繊細な治療です。
顕微鏡導入の際、MANI(日本製)、ライカ、カールツァイス(ドイツ製)を試しました。
MANIは像の不鮮明さ(色収差の問題)と制動性の悪さ、ライカは不十分な感染対策、操作性の悪さが気になり不採用としました。
ルーペや顕微鏡はレンズを何枚も重ねるため、光量が減り、色収差(光の屈折率の違いで起きる像のにじみやボケ)が起こりやすく、鮮明な像を得るには高い光学技術が必要です。
下は色収差とレンズの関係
医療機器として、繊細な作業をストレスなく、感染リスクを避けて行うためには感染対策、操作性、制動性の全てが必要です。
カールツァイスの顕微鏡には
①スムーズに動き、止めたいところでピタリと止まる制動性
②明るく色収差の少ない鮮明なレンズ
③感染対策用の滅菌可能なカバーを用意
④手元で操作可能な、ピント、光量の調整とカラーフィルター※変更つまみ
⑤切れてもワンタッチで交換可能な光源ランプ
などの臨床に対する細やかに配慮された造りがありました。
像が綺麗でストレスがない操作性から効率と質が向上し高いメリットがあります。
OPMI PICOは構造がシンプルで、20年以上使っても業者を呼ぶ故障がほぼありません。
良い医療機器は長く使え、使う人のことを考えぬいた開発者の熱意を感じます。
※カラーフィルター・・レジンの硬化を避けるためにイエローフィルター、出血部位を見やすくするためにブルーフィルターが用意されています。
カールツァイスの顕微鏡には滅菌可能なシリコンのカバーが販売されており、感染対策も万全です
治療も先生の熱意が重要です。
全顎的治療が終わった後、暫くメンテを怠った患者さんが久しぶりに来院されました。
意外に僅かな治療箇所だけで治りました。
機械も治療も同じです。高い質の材料で熱意を込めた治療は経過も全く異なります。
