東洋醫學は聞いたことがあっても、中醫學という言葉はあまり聞き馴染みがないと思います。
東洋醫學とは実は中国で行われていた伝統的な療法である中醫學が日本に入り、日本に適した形に改良されたものです。
中醫學をはじめに日本に持ち込んだのは鑑真です。
鑑真は日本に棗などの様々な漢方生薬を中醫學と命がけで船に乗せて運んできました。
自らは目が見えなくなりましたが、日本に当時なかった中醫學の治療法を持ち込んだ最高の功労者で、正倉院には棗、桂心(桂皮のこと)、甘草、人参、大黄など、それまで日本になかった漢方薬の生薬か今でも保存されています。
日本には中醫學以外にも江戸時代の鎖国の時にオランダを通じて入ってきた西洋医学である蘭学というのがあります。
オランダから入ってきた学問である蘭学には医学の他天文学、地理学、物理学、化学などあらゆる分野なものがありました。
蘭学の天文学や地理学で有名なのは伊能忠敬で、日本の地図作成のために測量を願い出たイギリスに、防衛上理由で測量を断るために伊能忠敬の地図を見せました。
日本も当時のアジア諸国のレベルと侮っていたところ、当時のヨーロッパと遜色ない正確さに、びっくり仰天したという逸話があります。
医学に関しては江戸時代の杉田玄白が著した「解体新書」などが有名です。
ヨーロッパではルネッサンス以前は世界三大伝統醫療として中国医学(中醫學)、ユナニ醫學(ギリシャ、アラビア醫學)アーユルベーダー(インド醫學)の中のユナニ醫學がありました。
ユナニ醫學では四体液説による診断や治療、ハーブなどの薬物療法、瀉血やカッピングによる治療、宗教的治療が行われていました。
ルネッサンス時代に入り、解剖学が頻繁に行われるようになったうえ、科学的な分析をもって医療が行われることが求められる様になり、16世紀ごろから現代医学へと置き換わってゆきました。
これが日本で蘭学と呼ばれるものです。
これが現在一般的に西洋医学と繋がるもので、それ以降ユナニ醫學のような伝統醫學は完全に廃れてしまいました。
詳しく調べると、ユナニ醫學、中醫學、アーユルベーダいずれも考え方が似通っています。
現在の医療はルネッサンス以降の西洋医学に偏っていますが、三大伝統醫療の考え方も決して間違っているわけではなく、効果の高いものが多くあります。
三大伝統医療の中で、理論的にも明快なものは中醫學です。
私は中醫學を8年以上勉強していますが、その奥深さと理論の明快さにはいつも驚かされます。
当院では、伝統醫療の中でも特に東洋醫學を中心として、西洋医学的な治療だけでは完治が難しい患者さんの治療に活用しています。
当院には200種類以上の漢方生薬があり、ほとんどすべての証に対応できるレベルです。
このような東洋醫學ですが、東洋醫學と中醫學ではかなり違っています。
中醫學では、氣の流れを非常に重要視します。氣とは生命エネルギーそのものであり、氣が流れることによって人間が生きているといえるからです。
中国では氣を自ら整える氣功術が盛んで、実は私(院長)も氣攻師で氣功を教えています。
漢方生薬や、鍼灸、推拿、気功などは全て氣の巡りを良くし、氣の量を増やし、邪氣を取り除くことを目的として治療に使われます。
東洋醫學(日本の漢方醫學)では、主に処方がメインで治療が行われますが、中醫學では、診断が最も重視されており、処方名で生薬を出されることはなく、症状に合った生薬(漢方薬の原料)を組み合わせてオーダーメイドで出されます。
