「*ナイトガード」、「マウスピース(マウスピース矯正を含む)」を使っていたら噛み合わせが変わってしまった、顔つきまで変わってしまった」経験はありませんか?
ナイトガードで噛み合わせや顔が変わる人は上顎の骨や下顎の位置にトラブルがあり、いわゆる顎関節症を発症しているのかもしれません。
通常ナイトガードの目的は噛みしめや、歯軋りから歯を守ることですが、私は顎関節症の症状の軽減(応急処置)にも使うことが以前ありました。
*ナイトガードとマウスピースは構造上は全く同じものです。ナイトガードは主に夜装着し、歯ぎしりや噛みしめから歯を守る目的や顎関節症の改善用として治療に用いられます。一方マウスピースはスポーツ時の噛みしめや接触時の衝撃から歯を守る目的で用いられます。
ナイトガードを正しい噛み合わせで患者さんに装着してもらうと、歯ぎしりが減って頬の肉が落ちて顔つきが変わり、体調までよくなる方がほとんどです。
しかし、しばらくすると噛み合わせが変わりうまく噛めなくなると訴える方がいらっしゃいます。
噛みしめや歯軋りの力は歯自体を移動させるだけでなく、強い筋肉の緊張で引っ張り、顎の周りの下顎の位置を狂わせたり、顎の骨や頭蓋骨まで変形させることがあるのです。

この図では下顎の位置が変位し、上顎の骨や頭蓋骨まで変形した状態を示したもので、このようになると頭痛や、肩こり、目の痛みなどの様々な原因不明の症状が現れることが考えられます。
これのような骨格の歪みは、本人が気が付きにくいため、徐々に進行してゆき、仮にレントゲンで歪が分かったとしても、治す方法をわからない先生がほとんどでしょう。
歯軋りや噛みしめの原因はストレスです。「ナイトガード」を装着しようと考える人の多くは、なんらかの「強いストレス」をうけているといえます。
このストレスには、大まかに分けて
①日常生活のストレス(職場、育児、人間関係のストレスなど)
②不適切な歯の治療や、不適切な矯正治療によってお口周りに起きたストレス
があります。
①これらのストレスは実態として見えにくいものです。私はこれは「気」と呼ばれる一種のエネルギーが関与している考えています。
東洋医学では「邪気」とも呼ばれる体に悪さをするエネルギーです。一方「生気」という体に良い作用をするエネルギーもあります。
②では、治療によって人為的に起きてしまうケースです。意図して行っていなくても、その患者さんにとって不適切な治療を行うと、歯や噛み合わせにストレスがかかり影響が出てしまうことがあるのです。
これは、詰め物が適切でなかったり、噛み合わせが適切でなかったりする場合に起こります。
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私は、このような患者さんのために、顎の筋肉の緊張が取れる位置で噛めるナイトガードを製作していました。
このような位置のナイトガードは「顎が緊張しにくい」ため、顎周りの筋肉の緊張が自然に取れてきます。
緊張が取れると、筋肉の厚みは減り、引っ張られて歪んでいた顔の骨も元の状態に戻るので、当然顔の輪郭は変わってきます。
やがて全身の骨格のバランスが整ってきます。すると全身の循環が改善し、体調が良くなります。
しかし、筋肉が緊張が取れたことで引っ張られていた骨自体の変形が取れ、噛もうとすると歯がほとんど当たらないという事態になる可能性があることが分かってきました。
この反応は必ずしも悪いとは言い切れないのですが、体調は良くなるけど噛みにくくなってしまうという問題が起きてしまうのです。
噛み合わせが変わってしまうとそれに応じて被せ物や歯列矯正で噛み合わせを治す必要が出てきます。
私はナイトガードを作る際、必ず患者さんに噛み合わせも含めた全顎的な歯の治療を受けることを承諾いただきます。また、応急的に作成する場合でも、噛み合わせが変化してしまうリスクをあらかじめ伝えておきます。
最近マウスピース矯正が流行っています。マウスピース矯正ではマウスピースとして歯に装着するので、顎の筋肉の緊張が取れ、バランスが狂って噛む位置が変わってしまう場合もあると思います。
患者さんの顎が全て歪んでいるわけではないので、すべての症例で、噛み合わせを変えないければならないわけではないと思います。
しかし、もし顎の骨が歪んでいるような場合は、マウスピースによって上顎や下顎の骨が緩んで形が変わり、噛み合わせも大幅に変更しなければならなくなるケースもあると思います。
これがマウスピース矯正で大きな問題の一つではないかと私は考えています。
ブラケット矯正であれば、噛み合わせの位置を歯の移動で変更することはいつでもできますので、リスクを避けるためにはブラケット矯正を選ぶべきでしょう。
なぜなら正しい位置でナイトガードを作ると噛み合わせがズレるという問題が起こることを知っているからです。
当院では、時間をかけて虫歯や根の病気の病巣を取り除き、必ず顎周りの筋肉は緩んできます。
患者さんは治療とともに噛み合わせにズレがあるに気が付き驚かれることが多いです。
噛み締めによる歯の移動や歯科治療では通常歯の高さは徐々に低くなる傾向があり、筋肉は後ろに引っ張られ、顔の骨は左右的にも歪んできます。
このような歪みは、自分で無意識に歯が均等に当たるように下顎をずらして噛むので、大幅に変わっていない限り気が付きません。
このズレが一定レベルを超え、強いストレスが加わったことが発端となり、顎関節症が発症するのです。
顎関節症とはこのような歯の移動や、顔、全身の骨格の歪みの蓄積によって引き起こされる症状で、顎の痛みから不定愁訴*にわたるまで多種多様です。
顎関節症は顎の骨や顎関節、噛み合わせだけの疾患ではなく、全身の不調(食欲不振、膨満感、頭痛、のどの違和感etc.)まで顎関節症にふくまれるといわれています。
*不定愁訴…イライラする、何となく体調が悪い、疲れが取れない、よく眠れないなどの原因不明の症状のこと
「人の歯や顎の位置は日常のストレスや歯の治療によって移動し、噛み合わせの位置は絶えず変化してる」
という事実を知らないまま、ナイトガードを装着してしまうと、このようなトラブルが発生することがあるのです。(私がマウスピース矯正を行わない理由はここにもあります。)
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当医院ではナイトガードはあくまでも「緊急事態の処置(たとえるなら心臓マッサージのようなもの)」として位置づけています。
歯軋りや噛み締めが酷かったり、顎関節症の症状が複雑に発症している場合、歯の治療と噛み合わせの治療そして筋肉の緊張緩和による全身のバランスを整える治療が必要なのです。
そもそも歯軋りや噛み締めの原因であるといわれているストレス自体がなんであるかは様々で、現代医学で解明できているわけではありません。私は、現代の科学でいまだ測定することのできないエネルギーの一種である「気」(=生命エネルギー)が関与している考えています。
東洋医学での治療は「気」には体に悪い影響を与える邪気と呼ばれるものと、良い影響を与える生気とを診断し、漢方や鍼、灸、気功、などでコントロールします。
顎関節症のような複雑なトラブルの根本治療には、西洋医学的な歯科治療だけでなく、東洋医学的手法を用いた「気」(=生命エネルギー)の治療を行うことが必要といえます。
正しいナイトガードの作り方
確実に効果が出るナイトガードを作成するには、いかに正しい噛み合わせの位置で噛み合わせを取れるかにつきます。
私はスポーツ用のマウスピースを応用して作っています。
マウスピースは、もともとバスケットボール選手や、アメリカンフットボールなど、スポーツ医学の分野で歯を保護したり、瞬発力を上げたりすることに使われていました。
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私に治療を教えてくれた先生が以前NBAの選手のマウスピースをアルバイトで製作していた経験から、これを顎関節症の治療に応用することを思いついたそうです。
この装置で顎の位置をバランスの取れた位置にすることで、筋肉は最も効率よく機能させバランスが整うため、顎関節症特有の顎周囲の筋肉の痛みだけでなく、筋肉は緩み顔の骨、全身の骨格まで変わってくるのです。