日本の「国民皆保険制度」は、戦後の物資が乏しく病気が蔓延していた時代に、「誰もが最低限の医療を受けられるように」と作られた制度です。しかし、時代が大きく変わり、人々の価値観や健康への意識が高度化した現代において、この制度は大きな限界を迎えています。
現在、多くの歯科医院が採算の厳しい保険制度の枠に縛られています。また、患者様自身も莫大な保険料を負担しながら、実際には「制度が認めた範囲内」の限られた治療しか保形制度の給付の選択肢を与えられていないという矛盾が生じています。
ほとんどの歯科医が保険医であるため、患者様が「制度の枠を超えた、真に身体に良い治療」に出会う機会が極めて少ないのが日本の現状です。
私は30年以上前、米国で最先端の研鑽を積まれた恩師のもとで、世界基準の歯科治療を目の当たりにしました。その時、日本の皆保険制度が「本当に患者様のためになっているのか」という深い疑念を抱かざるを得ませんでした。
なぜなら、保険制度内で行われる治療は、世界の標準的な医療レベルから大きく乖離していたからです。
感染対策の徹底度はもちろん、一人ひとりの人生を見据えた治療計画の質において、日本の保険診療は今なお多くの課題を抱えています。
制度による給付額が数十年前からほとんど変わっていないため、医療の質もまた、低い水準で停滞したままなのです。
当院が自由診療を貫くのは、「制度の都合」ではなく「あなたの身体の未来」にとって、真に価値のある世界標準の医療を提供するためです。
現在、多くの歯科医院が経営維持のために、保険診療と並行してインプラントやマウスピース矯正などの安直な患者さんのニーズに寄り添った「自由診療」が多く流行っています。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
保険診療をメインとする医院環境の中で、自由診療に求められる高度な治療環境や治療技術を成立させるのは至難の業です。
例えるなら、**「高級車のエンジンに激安車の部品をまぜこぜにして組み立てる」**ようなものです。
医療においては、診断・技術・材料・機器が複雑に絡み合っており、特に感染対策や治療の診断、治療環境は治療結果に雲泥の差を生むため、保険診療の合間の自由診療は、本質的に意味があるものであるかを真剣に調べてから決める必要があり、安易に勧められて受けるものではありません。
近年、美容意識の高まりから「白く綺麗な歯にしたい」という審美治療のニーズが非常に増えています。
一方歯科医側も、保険の評価の低さから、経営難に陥っており、混合診療による審美治療の自由診療を取り入れたいという要求があります。
しかし、「見た目だけ」を整え、噛み合わせなどの機能回復や健康維持を軽視した審美治療は、かえって咀嚼機能を低下させ、全身の健康被害を招くリスクがあるのです。
「綺麗になりたい」という患者様の願いに応えることが、必ずしもその方の健康上のメリットに繋がるとは限りません。
本来、医療とは「患者様のやりたいこと」をそのまま提供するサービスではありません。何よりもまず**「健康を害するリスクを排除すること」**が第一の責任です。これは、一般的な商品を販売するビジネスとは根本から考え方が異なります。
しかし残念ながら、現在の日本の歯科業界には、保険制度の不採算問題を埋め合わせるため、混合診療による患者さん受けの良い審美治療が宣伝され、むしろ積極的に行われているのが現状です。
医院の経営を成り立たせるために、医療の本質を捨て、医院経営の為の治療を取らざるを得ない状況になっているのは不都合ではあるがこの国の真実なのです。
私は、あえて厳しい言葉でお伝えします。 **「精密な診断や徹底した感染対策など、患者さんの利益重視の観点を無視した自由診療なら、むしろ受けないほうがいい」**とさえ考えています。
特に見た目だけの美しさは、砂上の楼閣に過ぎません。土台となる感染対策や機能回復が疎かであれば、健康のための理想的な治療が損なわれ、結果として大切な歯だけでなく健康まで失いことになりかねないからです。
私たちが考える「本物の歯科治療」とは、以下の3つが揃って初めて成立します。
高度な感染対策: 体内に細菌を入れない徹底した管理
精密な診断: 全身のバランス(顎位)と全身への影響を考慮した分析
根本的な機能回復: 「しっかり噛める、健康に暮らせる」状態への口腔内そして全身の再構築
見た目の美しさは、これらが正しく行われた結果として、後からついてくるものです。身体の機能を根本から回復させ、一生涯の健康を守ることこそが、歯科医療の真の価値であると私は確信しています。
