睡眠時無呼吸症候群という名前は聞いたことがあると思います。
実は症候群とは病気ではなく「病的な状態(病態)」といわれています。
症候群とは正式な病名ではなく、「原因が特定できない、あるいは原因を排除する手段がない」からこそ、現れている症状の集まりに便宜上の名前をつけているだけなのです。
そして今の医療制度では、病気以外の治すことは制度上も医療教育上も極めて難しいのが現状なのです。
肥満以外の原因によるものであれば、歯科治療(特に歯列矯正や噛み合わせ調整)が根本的なアプローチとして高い可能性を持つと聞くと皆さんは一体どう感じるでしょうか?
睡眠時無呼吸(SAS)が引き起こす問題は、単に「夜間に息が止まる」「いびきがうるさい」という局所的な話に留まりません。
- 血管と心臓のへの負担
一晩中、間欠的に窒息することによって胸腔内が陰圧になり、高血圧・心筋梗塞・心不全を誘発します。
- 脳への深刻なダメージ
慢性的な酸欠と間欠的な覚醒にによって、脳梗塞のリスクが激増し、脳の老廃物が排出されず認知症の進行をが高まります。
- 日中の眠気と交通事故のリスク
睡眠不足による疲労が回復せず、運転中などの一瞬の意識消失(マイクロスリープ)が重大な死亡事故に直結します。
睡眠時無呼吸(SAS)の本質的な原因は、睡眠中に喉が物理的に塞がれる「骨格」と「筋肉」、「肥満」の3つ問題に集約されます。
- 1. 骨格的な問題(骨格の位置関係)
下顎が小さい、後ろに下がっている、または噛み合わせの高さ(咬合高径)が低いために、喉のスペースが物理的に狭くなっています。しかし、下顎が小さいケースは実は稀で、顎が後ろに下がっていることがほとんどです。
- 2. 筋肉の問題(ストレスによる過緊張)
あご周辺の筋肉の過緊張(後ろへ引っ張る持続的な異常収縮)」により、顎の位置が後退したり、舌根が喉の奥へと強制的に引き込まれていることで起こる。
寝ているとき重力で舌が奥に入るという説もあるが、健康な人では起こらないため、顎の位置や過緊張が原因として考えられます。
- 3. 肥満の問題(脂肪による気道の圧迫)
首や喉の周りに脂肪がつくことで、空気の通り道(気道)が外側から物理的に圧迫されて狭くなります。さらに、太ると「舌」そのものにも脂肪がついて体積が大きくなるため(舌脂肪)、寝ているときに舌の根元が喉の奥へより落ち込みやすくなります
1. 医科で行われる一般的な治療法(対症療法)
医科では、睡眠中の上気道の閉塞(窒息状態)を空気圧や手術で物理的に回避するアプローチが主流です。
- CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)
-
- 内容: 就寝時に鼻マスクを装着し、装置から一定の圧力をかけた空気を送り込むことで、潰れた気道を内側から押し広げて空気の通り道を確保します。
- 特徴: 医科における最も標準的な対症療法であり、毎月1回の定期通院を条件に保険が適用されます。
- 外科的手術(耳鼻咽喉科など)
-
- 内容: 物理的に気道を狭めている組織を取り除きます。代表的なものとして、子どもの扁桃肥大やアデノイドに対する「扁桃切除術」、成人の喉の粘膜を部分的に切除する「UPPP(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)」などがあります。
2. 歯科で行われる一般的な治療法(対症療法)
歯科における一般的なSAS治療は、装置を用いて寝ている間の気道スペースを機械的に維持することを目的に行われます。
- スリープスプリント(一般的なマウスピース療法)
-
- 内容: 上下の歯に装着する一体型、または分離型の装置です。下あごを強制的に数ミリ前方へ突き出させた状態で固定し、舌の根元(舌根)が喉の奥へ落ち込むのを物理的に防ぎます。
- 特徴: 医科からの紹介状(診断)がある場合、軽症〜中等症の患者を対象に保険適用で作製されます。
現代の医療システムで最も標準的に行われている治療法です 。
マスクから圧力をかけた空気を送り、睡眠中の気道を物理的に確保します 。
体の構造そのものを変えるアプローチではないため、装置を外せばその日の夜から元の状態に戻ります。そのため、一度始めると一生涯使い続けなければならないという特徴があります
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を引き起こす「骨格」と「筋肉」の異常に対して、当院では根本原因に直接アプローチする原因療法を行っています。
本質的な原因は、顎の位置の後退と、ストレスによって起こる筋肉の過緊張により、舌が喉の奥に引き込まれてしまうことです。
そのため当院の原因療法では、まず歯やあごに加わっている異常な過負荷(食いしばり等のストレス)をリセットし、後ろへ引っ張る筋肉の緊張を取り除くことが前提なのです。
当院では、歯の治療などで、ストレスエネルギーを取り除き👉、筋肉の緊張を取ります。「礎」👉の工程
⇩
次に顎の位置を前に出しながら奥歯の高さを高くします。「建」👉の工程
⇩
治療後は再び顎の位置が下がったり、筋肉の緊張が起こらないよう、ストレスを管理します。「和」👉の工程
この治療法によって、体全体のバランスを崩している根本原因そのものを変えることができます。
つまり、噛み合わせを治すだけでなく、その形を引っ張っている「筋肉の異常緊張やストレス」を同時に取り除き、維持してゆくという包括的な歯科治療こそが、この病態を身体の構造から根本的に変えるための確実なアプローチなのです。
当院の患者さんの例です。
[左:普段の噛み合わせ] 筋肉の過緊張(後ろへ引っ張る持続的な異常収縮)により、あごと舌根が喉の奥へ引き込まれ、呼吸路が狭くなっています。
[右:マウスピースでの位置] 顎を前に出し、奥歯が適切な高さになるようなマウスピースを装着して撮影したものです。
お口の中の空間と気道が物理的に大きく広がっていることが分かります。
※診断のための撮影で、実際は噛み合わせを治すことで呼吸路が開き、舌の位置が前に移動します。
「歯科治療は今は、病気を治す時代ではなくなり、病態や未病にアプローチする時代なのです。現代の医療システムはこのようなことに対応していないため、どこに行っても対症療法しか行われないのです」


まだコメントはありません。