· 

歯科治療の基本、"咬合学"とは?

「咬合学」ということがを御存じでしょうか?

 

一般の方は聞いたことのない言葉でしょう。

 

咬合学「適切に噛めるための噛み合わせを作り方と下顎の位置の決め方」の学問です。実か噛み合わせが全身の体調と非常に深く関係しています。奥歯の高さが低かったり、顎の位置が左右的あるいは前後的にズレていると筋肉のバランスがくるってしまい、広い意味での顎関節症になります。

 

このような顎関節症では、考えもしない不調が起こります。肩こり、目の痛み、首の頑固なコリ、腰痛や思考力の低下などです。

そこで正しい顎の位置を正確に決めてあげるための理論が必要なのです。

 

歯科界ではこのような噛み合わせの位置を決める学問は100年以上の歴史を持っているのです。

 

①.咬合学の歴史

②.咬合学の重要性

③.咬合学の種類(アメリカ、ヨーロッパの考え方のちがい)

④.咬合学を教えない日本の歯科大学

⑤全身と調和させた咬合理論(整体や東洋医学的発想)


①.咬合学の歴史

咬合学は約百年前に米国で始まりました。

 

米国での咬合学はナソロジーが最も代表的で、1920年代にナソロジカル・ソサエティーが設立されました。

 

ナゾロジーは歯の修復と補綴の歯への適合精度だけでなく、よく噛めるための噛みわせ位置、歯の当たり方を研究する学問でした。しかし、今咬合学を真剣に考えている人は非常に少なく、効率を求めたCAD/CAMシステムや、患者さんのニーズに寄り添う形でのマウスピース矯正などがブームになっています。

 

咬合学を無視したこのような治療法によって、数多くの広い意味での顎関節症が大量に作られているのです。

そして、最も怖いことは、このような顎関節症の症状が、顎周りだけでなく、全身に様々な原因不明の症状が起こるため、歯の治療によって引き起こされたととは患者さんが分からない点にあります。

 

しかも、最近の歯科医は殆どが噛み合わせの診断すらすることができません。その結果病院では治らない不調を抱えたまま一生を過ごす事になるのです。


②.なぜ咬合学が重要なのか?

例えば歯が全くない総入れ歯の患者さんの場合、基準となる噛み合わせはもともとありません。

 

つまり、噛み合わせの高さや下顎の位置は一定の基準をもって歯科医師が決めなければ心地よく噛める入れ歯は作れません。その時の基準を決めるのに咬合学が必要だったわけです。

 

「部分入れ歯や総入れ歯が合わない」、「矯正治療後に噛み合わせがしっくりこない」といったトラブルの原因の実際はほとんどは咬合学に基づいた理論的な噛み合わせの位置決めが行われていないことが原因となっています。

 

つまり咬合学とはただ噛めるだけという要求では収まらない「ベストな噛み合わせで健康で楽しく食事をしたい」という番町デンタルクリニック.が目標とする「機能を回復し健康な歯と噛み合わせを提供する」ためには必要不可欠な学問なのです。


③.咬合学の種類

咬合学は現在大まかに分けで2つの学派が存在します。

 

1.ナソロジー学派

ナソロジー学派はアメリカで起きた学問体系で、100年近い歴史があり、理想的な顎の位置を「中心位*1と呼び、その位置に顎を誘導して噛み合わせを採得します。

 

ナソロジーの中でも様々な派閥が存在し、「中心位」の採得法もドーソンテクニックなど沢山の種類があります。残念ながらいずれの学派も安定した治療結果が出せないために「何度も中心位の定義が変わる」などいまだに確立できていないのが現実で、今現在その活動が縮小し、勉強をされている先生は非常に少ないです。

 

2.シークエンシャル咬合学派

ヨーロピアンナソロジーとも呼ばれ、複雑な「全調節咬合装置(キャディアックス)*2を用いて、顎の運動を三次元的に分析し、その結果から噛み合わせの位置を決める方法ですが、装置が複雑で扱いが難しく実用的でない部分があります。

 

理論的には「機能に問題がある顎の運動を記録することで正常な状態の噛み合わせの位置を推測」するという手法をとっているのですが、その理論自体に無理があり臨床結果が必ずしも良好でないことが番町デンタルクリニックに転院された患者さんの結果から伺えます。

 

この二つの理論はどちらも確実な理論体系となりえなかったために結果を出せなかったのです。

 

両学派とも理想的な噛み合わせの位置を、上顎骨の関節窩(頭蓋骨の一部)に対する理想的な下顎頭(顎関節のてっぺん)が理想的な位置関係でおさまっていることが理想と考えました。

しかし、臨床で実際に噛み合わせの位置を変えてゆくと、顎の位置と頭蓋骨(上顎骨)の位置のバランスが取れることによって顎周りの筋肉の緊張がなくなり、それが波及して頸椎の配列が整い、最終的には全身の骨格まで変化します。

 

つまり顎関節頭の位置だけを見て噛み合わせを考えることは、噛み合わせが全身に影響を与えているという事実を無視した考え方だったといえるのです。

 

つまり「木を見て森を見ず」だったのです。

 


④.咬合学すら教えない残念な大学教育

私が歯科大学で教育を受けていた時、咬合学に対する教育がなさせることはほぼありませんでした。

 

私が在学していた国立歯科大学の最高峰と呼ばれる東京医科歯科大学(現在の東京科学大学)においても「咬合論を体系立ったシステム」で教育する講座はなく、これほど大切な理論が歯科大学で十分に教育されることなく歯科医師が世に送り出されていることを知りとても恐ろしくなりました。

 

私が患者さんを診察してきた経験からの推測では、噛み合わせが原因で起きた不定愁訴の患者さんは相当の数に及ぶと思われます。しかし、本人が噛み合わせが原因であると気が付いていないため、不調を抱えたまま人生を終えてゆく人が非常に多いと推測しています。

 

正しい理論に基づく咬合学が教育されることは日本人のQOL向上のために必要なことなのですが、残念ながらそのような方向には向かないだろうと感じています。


⑤全身と調和した咬合理論(番町D.C.が理論的に導き出した咬合論)

私には学生時代「総義歯の噛み合わせが合わない方」、「不定愁訴を持つ顎関節症の方」と向き合い、大学院時代にアメリカの大学、大学院を卒業した先生から治療技術を教わりました。

 

さらに日本中や世界の名のある咬合理論を研究しあさった結果、咬合論は本当の意味で確立していないことに気が付きました。

 

しかし開業9年目で私自身が顎関節症による不定愁訴が起こっていると気がづき整体治療、オステオパシー、医療氣功などのあらゆる代替療法を受けながら、自分の噛み合わせを歯列矯正で治した経験を持っています。

 

このような泥臭い試行錯誤こそが本物のが臨床(患者さんの症状に向き合って治療を行う)であり、理論の中だけのEBM(Evidence-Based Medicine)主義との違いです。実際に治療法の多くは試行錯誤の上で見いだされ、のちにその理論が分かるという仕組みわかるというものなのです。

理論が理論がと先に理論を求めている人は論文ばかり読んだ頭でっかちで、実際に患者さんを治していないことの方が多いのです。患者さんと対話しながら、自分の方法に何が問題があったかを考えないまま、自分の理論を相手に押し付けている医療人が実は多いのです。

 

その経験から噛み合わせは全身と大きな関わりがあり、上顎と下顎の位置関係だけと捉えただけの診断では不調(不定愁訴)を治すことは難しいと気づいたのです。

 

「”合わない入れ歯を克服”した経験から”噛み合わせによる不調を解決”できた話。」👉

 

そしてさらに研究を重ね独自の咬合論を確立することができたのです。

 

実際の噛み合わせの採得では、「首まわりや全身の筋肉にストレスのない様に顎の位置を決める」👉ことで単に不定愁訴がなくなるだけでなく、今までに経験したことがないほどの良好な体調を得られる噛み合わせにすることができるのです。

 

体調が激変”歯並び”だけじゃなく”顎の位置も治す”歯列矯正の極意はこちら

 

歯列矯正において咬合学をしっかり勉強している先生は非常に少ないために「噛めるだけでなく全身の骨格が整い健康状態まで改善する歯列矯正を行える矯正医」はほとんどいないと思います。

 

 

また筋肉の緊張を取り除くことは実は容易なことではありません。

筋肉の緊張は全身を流れる生命エネルギーである「氣」ととても深い関係があります。

 

私が初めて受けた整体の先生は、この「氣」を整えることが得意な先生でした。実はマッサージでもこの気を整える能力を持っている人とそうでない人とでは効果がかなり違います。

 

私は最終的には医療氣功の治療を受け、自分も医療氣功の技術を習得したのですが、顎関節症の人はこの気の流れが詰まって、緊張を起こしやすくなっているため、氣の巡りが良くなって緊張が取れやすくなることも、正しい噛み合わせの位置に顎を誘導するのに必要なことなのです。

 

*1中心位・・・・・・下顎の左右の顎関節頭がそれぞれの下顎窩に適切に収まった状態の噛み合わせの位置のこと。

*2キャディアックス・下顎と顎関節の上顎骨に対する運動をコンピューターで計測する装置。