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歯の治療は「修復」ではなく「外科手術」である――臓器としての天然歯を守る思考法

日本とアメリカで虫歯治療の考え方が違っていることを御存じでしょうか。

 

日本は健康保険がメインになっています。出来高払いで、中でも歯科もかなり低い診療報酬に抑えられているため、短時間で作業を済ませ患者さんの数を回してゆかなければ経営が成り立たないシステムになっています。

 

どうしても歯を物のように扱う感覚があり、臓器の一部であるという感覚で治療をしてくれる感覚が薄いように感じます。

 

そうしたことが理由なのか、日本の患者さんの中には、歯の治療で入る材料をモノの値段のように勘違いしている方が少なからずいらっしゃるように感じます。

 

私はアメリカの大学と大学院を出られた先生に治療を教わりました。初めて治療を見た時、丁寧に歯を扱うことに驚きました。

 

ラバーダムをかけて、拡大鏡で診ながら丹念に虫歯を取り除いてゆく姿は、外科治療そのものでした。

アメリカでは虫歯治療のことを「Operative Dentistry」といい、日本語に訳すと「外科的歯科治療」とでもいえばよいのでしょう、とにかく外科手術という位置づけなのです。

 

また、アメリカの先生の考え方では、詰め物は「靴底のようなものだ」とも言っていました。「ダメになったら交換するんだよ、守りたいのは歯だからね!」といわれた時は目からうろこが落ちる思いでした。


1,歯を詰める材料で考えるべきなこと

これは、建築では当たり前のことですが、どこにどのような力がかかるかを考慮して、建物全体が長年のストレスに耐え、簡単には崩れないように使う場所で材料の特性を考えながら建築します。

 

場所によっては、基礎のように強度が必要であったり、時にはしなやかさで力を逃す必要があったり、強度はなくても雨漏りを防ぐ柔軟さが必要があったり、外装をきれいにしたくても、大理石のような重すぎる材料は構造的に使えない場合もあります。

 

歯も同じですが、違う部分があります。それは歯は二度と生えてこないということです。

ですから、残った「歯にできるだけ負荷をかけないで、長持ちさせること」が歯の寿命を延ばし、噛む機能を末永く保つことに必要なのです。

 

最近では硬くて、見た目がきれいだからといって、「ジルコニア」や、「セラミック」はては「プラスチック」といった材料が流行っているようです。

 

しかし、見た目が良くでも硬すぎると、土台となっている自分の歯は噛んだ力をもろに受けてダメージを受け、噛み合わせの相手となっている歯にも強いストレスをかけ続けることになります。

 

こんな材料を詰めていては、詰め物やかぶせ物は長持ちしても、本来寿命を延ばすべき歯の寿命は失われ、最終的に噛む機能を失ってしまう事に繋がりかねないのです。

 

私の患者さんで、治療してもすぐ虫歯になってしまうので、できるだけ歯に負担をかけないで、且つ長持ちしてくれる材料を使ってほしい、とのことで、前歯でしたが、敢えて銀色の金属材料(アマルガム)を詰めさせていただた患者さんがいらっしゃいました。

 

一般的にアマルガムは「水銀を含むため危険」と誤解されがちですが、通常の歯科治療において適切に使用される限り、健康に害がないことはWHO(世界保健機関)などの国際機関でもすでに結論が出ています。むしろ、歯との密着性が極めて高く、二次虫歯(再発)を防ぐという点において、非常に優れた機能的ポテンシャルを持った材料です。👉

 

前歯だからといって安易に見た目だけの白い材料(審美)に頼るのではなく、「天然歯の機能と寿命を守る」という目的を最優先に選択した結果、隙間なく埋まり、強度もあるので、治療経過が大変良く、大変満足されていました。(下)


虫歯を完全に取り除いた状態(左上)、材料を詰め終わったところ(左下)、治療後1年経過後(右)

【左上】:下の歯の犬歯と2番目の歯の虫歯を取り除いたところ

【左下】:アマルガムを充填した直後

【右】:アマルガムを充填して1年が経過したときの歯の状態

隙間なくぴったり詰まっているのがよくわかります。

【重要】この治療に関する主なリスク・副作用を確認する(クリックで開く)

治療内容: 口腔内全体の調和を目的とした全顎治療の一環として行った、歯の摩耗部分のアマルガムによる部分修復。

この症例の総額目安:全顎調和治療の総額:約220万円(税込)

全顎治療の費用目安:150万円〜500万円(税込)
※当院は1本の歯のみの部分治療は行っておりません。この費用は、お口全体の環境を整えるためにかかった一連の包括治療の総額です。患者様の状態により総額は変動します。

リスク・副作用:共通事項(ページ下部👉)に記載。


近年の世界情勢を見渡すと、過激なEV(電気自動車)シフトや急進的な運動に見られるように、現場の実態や科学的な現実、人々の利便性を置き去りにし、「大義名分」というイデオロギーだけで極端な一律のルールを社会に強制する動きが散見されます。

 

しかし、それらの無理な押し付けは結局、インフラの破綻や社会の混乱を招き、今まさに世界中で急激な方向転換(揺り戻し)を迫られているのが実態です。

 

歯科におけるアマルガムの一律禁止も、まさにこれらと全く同じ構造です。現に、この極端な規制を主導したEU(欧州連合)から脱退したイギリス(英国)では、環境への配慮は行いつつも、臨床現場の現実と患者さんの利益を最優先に守るために、独自の現実路線として今なおアマルガムが実用的な選択肢として維持・使用され続けています。

 

さらにこの規制の背景には、安価で極めて優秀な材料を市場から排除することで、より高価な消耗品(セラミックやジルコニア、複雑な接着システムを要するレジンなど)を流通させ、高収益を上げようとする巨大歯科メーカー・資本のビジネス的な思惑(利権構造)も深く絡み合っています。

 

日本国内においてもアマルガムが完全に失われれば、現実的に歯に詰める安全性と適合性の高い金属はゴールド系(自由診療)しかなくなり、金属を使った採算の合わない保険診療は崩壊します。結果として、日本の歯科治療のほとんどが、天然歯の寿命を縮めかねないリスクを孕んだレジンやセラミックに置き換わっていくことになります。

 

どれほど世界の政治や資本の論理が歪もうとも、材料が持つ医学的・物性的な優秀さと真実は変わりません。当院は、目先のトレンドや歪んだルールに盲従することなく、「目の前の患者さんの天然歯を一生持たせるために、いま医学的に何が最善か」という医療の本質と正義だけを追求し続けます。


2,治療後のメインテナンスで考慮すべき再治療

多くの日本の患者さんは一度歯の治療が終わると、「詰め物が外れたり」、「痛みが出たり」、「虫歯が出来たり」しない限り、メインテナンス(歯石取り)を受けてさえいれば大丈夫と考えている傾向があります。

 

このような考え方になったのは日本の歯科に以下の二つの問題があるからです。

 

①保険診療ではとにかくスピードが勝負であり、細かい虫歯のチェックや手間のかかる治療はしたがらない。

②患者さんが一度治療すれば、材料が傷んだことによる再治療が必要であるとは考えていない

建物では、たとえ目に見えないようなヒビや、わずかな劣化であっても、大きなトラブルに繋がりますから、事前に修繕を行います。

 

マンションでは大規模な計画的な修繕は通常12年から15年で必ず行われています。

 

歯の治療ではかかっているストレスは人によって違いますし、食べ物を毎日食べているときにかかるストレスはマンションにかかるストレスとは比べ物になりません。

 

さらに歯は生きている臓器ですから、身体の影響をもろに受けてしまいます。

人によっては。治療が終了した歯でも短いと月単位で劣化して再治療が必要になる場合もあるのです。

それでも長くても数年でやり直しが必要な個所は必ず見つかるはずなのです。

 

歯科用ルーペを用いてメインテナンスを行えば「歯のヒビ」や、「すでに充填されている材料の劣化」をチェックすることができます。

 

また熟練した歯科衛生士が見れば、歯にかかっているストレスの大きさを、歯の出血具合や、痛さ、腫れ具合などから知ることができるのです。

 

歯や詰められている材料を丹念に観察すれば、「詰め物がかけていたり」、「隙間があいていたり」、「材料の劣化が始まっていたり」していて、歯に強いダメージが加わっていることを見極めることができるのです。

 

このような予防的な治療を積極的に行うことで、歯の寿命を延ばし、健康状態までよくすることができます。


3,歯にかかるエネルギー的ストレス

西洋医学では歯にかかるストレスエネルギーについて言及する先生は少ないと思います。

私は、特定の歯だけに、「歯の根元がえぐれ」、「歯の先端の摩耗」、「歯の一部の異常なヒビや欠け」が起こるのを不思議思っていました。

 

これらの現象は、「噛み締めによって歯に異常な力がかかることや、「歯軋りによって起こる」といわれてきました。しかし、「特に強い力がかかっていない歯にも同様の現象が頻繁に起こっている事実に私は注目したのです。」

 

一方東洋医学では「五臓六腑」の調整を行っている「経絡」という「生命エネルギー(氣)」の流れが、歯の上や歯の周りを通っていることが知られています。

私は医療気功を習得したり、長年東洋医学を勉強してきたので、患者さんの歯の状態と舌を見比べ、身体の状態と歯の関係を調べると深い相関関係があることを知りました。(
下の表👉参照)

 

つまり、身体の状態は歯に現れるということです。さらに歯を治療(噛み合わせやストレス除去)を行うことで、それまで悩まされていた身体の不調が調和へと向かうケースも多く 、虫歯と身体とは切っても切れない関係があることを知ったのです。

 

昔から、歯と健康は深く関係していると聞きますが、この相関関係はその理論を強く裏付けるものの一つだと思います。


歯と五臓六腑、症状の相関関係

不調部位や症状

対応する五臓(経絡)

不調

小臼歯、犬歯

(上下3,4,5)

胃と脾

(胃経・脾経の経絡)

消化器系の疲れ、食欲異常、内臓下垂、皮膚のたるみ、皺、思い悩み(考えすぎ)。
股関節や、膝、足首などの違和感や痛み

などが現れやすい

下顎大臼歯

(下6,7)

上顎前歯
(上1,2,3)

下顎前歯

(下1,2,3)

心と小腸(心経と小腸経の経絡)

睡眠の質の低下、気分の浮き沈み、不安感、焦燥感、動悸。

小指側の腕の筋や筋肉の痛み(押すと痛む)、肩甲骨の痛み、背中の真ん中あたりの痛みや違和感

などのサインが出やすい

上顎大臼歯

(上6,7)

肺と大腸(肺経・大腸経の経絡)

呼吸器の弱り、肌荒れ、悲しみの感情が強い。

親指側の腕の筋や筋肉の痛み(押すと痛む)、肩こり

などが起こりやすい

歯周病

腎と膀胱(腎経・膀胱経の経絡)

 慢性疲労、生命力の低下、白髪、抜け毛、骨粗鬆症

耳の異常、腰痛、首の痛み

に繋がりやすい

【東洋医学的診断に関するご注意】

※この表にある「歯と体のつながり」は、東洋医学の考え方や当院の経験からまとめた「健康の目安」です。内科などの病気を正式に診断するものではありません。歯の治療だけで、体の病気がすべて完全に治るとは限りません。当院が目指しているのは、歯を治すことで、病気になるのを防ぎ、体全体の健康を守るお手伝いをすることです。