歯科材料の物理的特性と、生体への適材適所

適切に詰められたアマルガム(左上)、適切に詰められたゴールドインレー(右下)

当院の虫歯治療では、単に「穴を塞ぐ」ためだけに材料を選びません。

 

毎日何千回と繰り返される激しい咀嚼、数十キロに及ぶ咬合圧、そして常に唾液(細菌)に晒されるお口の中は、生体において最も過酷な環境の一つです。

 

歯を一生涯守るためには、修復する「歯の部位」「かかる圧力」「神経への刺激」「見た目」「虫歯の深さ」といった多角的な状況を考慮し、材料の物理的特性を「適材適所」で完全に一致させる必要があります。

 

当院では、長期的な安定性と歯に対する低侵襲(削る量を最小限に抑えること)を最優先にし、以下の厳選した材料を使い分けています。


直接修復法(その場で直接歯に詰める方法)

直接修復材の特徴は、「歯を削る量が少なく」、「感染を起こしにい」、「精度が高い」、「噛み合わせを崩さない」などのメリットがあります。

■ アマルガム修復

  • 適応部位・状況: 奥歯の噛み合わせ面、または歯と歯の間の難しい隙間。
  • 物理的特性: 百五十年の臨床歴史を持つ高い耐久性。固まる際にわずかに膨張する特殊な性質があるため、歯との隙間をミクロン単位で完璧に封鎖(密閉)し、二次虫歯(再発)の侵入を徹底的に防ぎます。金属ではありますが、奥歯など目立たない工夫を凝らして施術します。

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■ グラスアイオノマー(GI)

  • 適応部位・状況: 歯の根元(生え際)や、神経に近いデリケートな深い虫歯のベース。
  • 物理的特性: 歯の成分と化学的に結合するため隙間を作りにくく、神経を刺激しにくい非常に優しい材料です。さらに、材料自体から「フッ素」を持続的に放出し続ける(フッ素徐放性)という特異な抗菌性を持っており、周囲の歯質そのものを内側から徐々に強化して虫歯の再発を防ぎます。

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当院では修復材料としては使用しませんが、その他に直接修復材として

 

・レジン(樹脂)があります。


間接修復法(精密に型を取って作製する方法)

虫歯の範囲が広く、直接詰めるだけでは強度が保てない場合に行います。

 

仮歯の期間の「感染リスク」、「噛み合わせが狂う」、および「歯の切削量が相対的に多くなる」というデメリットを補って余りある「圧倒的な耐摩耗性と耐久性」を付与します。

 

当院では、天然の歯に最も馴染む「ゴールド(金合金)」のみを厳選し、部位ごとに配合を変えた金合金を使用しています。一般的に多用されるセラミックやジルコニアは、その硬さゆえに周囲の歯を傷めるストレスとなるため、当院では使用しません。

■ 金合金(ゴールド)の精密な使い分け

  • 適応部位・状況: 何十キロもの咬合圧がかかる奥歯の噛み合わせ面、および歯の構造を支える中心的な土台。
  • 物理的特性: 金は硬すぎず柔らかすぎず、天然の歯に極めて近い「硬さと展延性(伸びやすさ)」を持っています。毎日強い力がかかっても、金属自体がわずかに伸びて歯と一体化するように馴染むため、歯が破折(割れること)する最悪のトラブルを防ぎます。

 

当院では、治す目的(上物か、土台か)に合わせてゴールドの種類をさらに細分化しています。

  • JRVT: 歯とぴったり適合し、強い力でも変形しない「インレー(詰め物)やクラウン(被せ物)」に使用。
  • N3: 歯の根元を確実に支える強固な「土台(コア)やブリッジ」に使用。
  • Bioethic: セラミックをコーティングする際、土台の金属として最も安定性の高い「メタルボンド」に使用。

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当院では使用しませんが、他に

・セラミック

・ジルコニア

があります。