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「アメリカの医療から学ぶ、日本の進むべき道。現役歯科医が五臓六腑と歯のつながりを解き明かす」

他人事では済まないアメリカの医療崩壊

先日、アメリカの医療事情について調べる機会があり、そのあまりの高額さに大変驚きました。骨折で手術や入院をすれば約750万円、急性虫垂炎(盲腸)でも数百万円もの請求が来ることがあるといいます。さらに驚くべきことに、救急車を呼ぶだけで約500〜2,000ドル(約8万〜30万円)の基本料金が発生し、走行距離などの加算でさらに費用が跳ね上がります。

 

背景には、医療すらも利益を最優先するアメリカの市場主義があります。現在、米国の年間医療費は4兆ドル(約600兆円)を超え、GDP(国内総生産)の約20%を占めるまでに高騰しています。

 

日本人の感覚からすれば恐ろしい状況ですが、現地の人々にとってもこれは死活問題です。米国の学術誌によると、自己破産の原因の66.5%(約3分の2)が医療費の支払いや病気による失職であり、年間約53万世帯が医療をきっかけに破産へ追い込まれているのが実態です。

 

日本のような国民皆保険制度がないアメリカでは、民間の医療保険がその役割を担っています。しかし、保険会社も利益を追求する民間企業であるため、「保険料は高く取り、支払いはできるだけ出し渋る」という論理が働きます。この営利主義の仕組みこそが、医療費高騰の元凶と指摘されています。

 

歴史を遡ると、ニクソン政権が医療への民間参入を促し、続くレーガン政権が低所得者向けの公的医療扶助を削減したことで、この傾向は決定的なものとなりました。政治が舵を切った結果が、現在の悲惨な医療格差を生み出したと言えます。

 

一方で、アメリカの医療には興味深い側面もあります。通常の医師免許とは別に、「オステオパシー」というもう一つの医師免許が存在する点です。これは日本でいう未病治療に近く、アプローチは整体にも似ています。身体を触診することで微細なブロック(滞り)を見つけ出し、それを解放して本来の自然治癒力やエネルギーを高める手法です。

 

日本の整体とは違って国家公認の医師免許であるため、費用は高額になります。しかし、病気になる前に身体を整える「未病治療」の思想は非常に優れており、これが代替医療としてではなく、正規の医師資格として確立されている点には、アメリカの医療のもう一つの素晴らしい可能性を感じます。


日本の歩むべき道と東洋医学

私は、東洋にある日本が、今のアメリカと同じ道を歩んでほしくないと強く願っています。今のままだと、国内の医療機関も経営が成り立たなくなって病院崩壊を起こし、やがて健康保険制度そのものも破綻してしまうのではないかと危惧しています。

 

これからの時代は、病気になってから治すのではなく、病気になる前にバランスを崩した身体をもとの状態に戻すというアプローチを積極的に活用すべきです。東洋医学ではこれを「未病(みびょう)治療」と呼びます。これは、すぐに命に関わるわけではないものの、現代人を悩ませている多くの慢性疾患に対して非常に有効です。

 

実は、現在のように西洋医学が優位となり、医療の主流として広まってきたのはここ150年ほどのことに過ぎません。それ以前の長い歴史の中では、東洋医学やユナニ医学、アーユルヴェーダなどの伝統医療が人々の健康を支えてきました。

 

これらの伝統医療には、人体をパーツごとに細分化して診るのではなく、心と体を一つのつながり(パッケージ)としてケアするという共通点があります。これこそが、原因が複雑に絡み合う現代の疾患に対して、今まさに求められている視点だと私は考えています。

 

しかし残念なことに、現在の日本では医科でも歯科でも、こうした伝統医療を本格的に教えるカリキュラムがほとんどありません。これは医療の発展において非常に大きな損失です。

 

私はちょうど9年前、東洋医学と出会い、本格的に勉強を重ねてきました。最初は西洋医学とあまりに考え方が異なるため戸惑い、理解するのに苦労しました。しかし、学びを深めていくとその理論は非常に明快で、納得できることばかりでした。

 

そして何より、人間の身体の仕組みが、この世界や宇宙、自然界の摂理とまったく同じであるという事実に気づかされ、深い感銘を受けました。

 

西洋医学では個々の症状だけを捉えるため、一見すると因果関係が分からず、それぞれに別々のアプローチ(対症療法)をするしかないケースが多々あります。しかし東洋医学の視点で見れば、一見無関係に思える複数の症状が、実はすべて根底にある一つの原因でつながっていることが分かります。つまり、その根本原因さえ取り除けば、すべての症状が同時に改善していくという、非常に本質的かつ効率的な側面を持っているのです。

 

もちろん、中には診断が極めて難しい症例もありますが、多くの症状は東洋医学の確固たる理論に当てはめることで、その原因を即座に紐解くことができます。

 

私は現在、医療氣功を習得し実践しています。「氣功」と聞くと、まだ怪しい療法だと感じる方も多いかもしれません。しかし、この手法もまた、人間の身体をコントロールしている「経絡(けいらく)を流れる生命エネルギー(気)」のバランスを整えるという、東洋医学の最も基本的な思想に則った治療法なのです。

 

近年、気功を科学的に分析する研究も進んでおり、施術者の手からは「バイオフォトン(生物光子)」と呼ばれる極めて微弱な光が放射されていることが分かってきています。このバイオフォトンは、人間の意識や意図によってコントロールできる可能性も研究者の間で指摘されており、伝統的な「氣」の概念が現代科学の言葉で説明されつつあると言えます。


歯の治療と東洋医学

私がエンパス体質であり、歯科医になってからも大変な苦労を重ねてきたエピソードについては、以前のブログ「歯科医が解明、エンパスの人の9割が知らない”歯の関係と改善法👉]」で詳しく書きました。

 

私は、こうした東洋医学や気功といった知識をまったく持たないまま、20年以上も歯科診療を続けてきました。当時は主に顎関節症(がくかんせつしょう)を専門に治療していたのですが、歯の治療を受けた患者さんから「靴がぶかぶかになった」「長年の便秘が治った」「足が痛くて歩けなかったのに歩けるようになった」といった、通常の歯科治療ではおよそ耳にしないような劇的な変化を報告されることがあり、とても不思議に思っていました。

 

当時は、「噛み合わせを調整して顎の位置が変わったことで、骨格の歪みが正され、自律神経の圧迫が取れたからだろう」と考えていました。

 

しかし、東洋医学を勉強していくうちに、実は「歯」と「経絡(けいらく)」には極めて深い関係があることを知ったのです。虫歯の治療や根管治療、噛み合わせの調整によって「経絡を流れる生命エネルギー(気)」が変化し、それが結果として全身のあらゆる不調を好転させていたのだと気づいた瞬間は、私にとって大きな衝撃でした。

 

そもそも私が東洋医学を学ぶきっかけとなったのは、自身の体調不良でした。気力が底をつき、仕事ができないほど心身が消耗してしまったのですが、実はこれこそ東洋医学でいう、他者にエネルギーを与えすぎて自らの気が枯渇した「気虚(ききょ)」の状態だったのです。

 

(関連:[ここ19年での歯科医療の変化👉])

 

現代人を悩ませる「治りにくい不調」の原因の多くは、この生命エネルギー(気)の乱れにあります。気を消耗しすぎて「気虚」になったり、気の流れが滞る「気滞(きたい)」を起こしたりした結果、血(けつ)が不足する、血流が悪くなる、体内の熱や冷えのコントロールができなくなる、あるいは水(すい)の代謝が悪くなるといったトラブルが引き起こされます。

 

これらの問題は「気・血・水(き・けつ・すい)」の不調和として、人間の生命活動の中枢である「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」と深く結びついています。

 

歯科医師が歯の治療を行う際、私たちは必ず同時に患者さんの顔や舌、首や肩の筋肉の張り具合もチェックすることが可能です。そのため、東洋医学の視点を持つと、歯の問題と全身の状態がいかに密接にリンクしているかにすぐ気づくことができます。

 

例えば、「ニキビ」ができやすいときは五臓の「肺」に問題が生じていることが多く、これは「便秘」を伴いやすいだけでなく、不思議と下の奥歯に虫歯ができやすくなったり、詰め物が傷みやすくなったりします。

 

また、舌の真ん中から奥にかけて白い苔(こけ)が厚く付着しているときは、「胃」をはじめとする消化器系の調子が落ちているサインです。この場合、顎の真下(口腔底)を押すと強い痛みがあり、犬歯から小臼歯(前歯と奥歯の間)にかけての歯茎に強い炎症が見られたり、その付近の歯の虫歯や詰め物が劣化が起こりやすくなったりします。

 

肩甲骨のあたりや、顎の奥、耳の下あたりを押して痛がる方は、五臓の「心(しん)」に負担がかかっている可能性があります。動悸や胸の苦しさを覚えたり、気持ちが塞ぎ込みがちになったりする傾向があります。

 

そして最も影響が大きいのが「腎(じん)」の問題です。ここに不調が及ぶと、脊髄と脳の周囲を循環する「髄(脳脊髄液)」の流れが悪くなり、脳内に微細な浮腫(むくみ)が生じることがあります。その結果、思考が鈍る、やる気が出ない、強い不安感に襲われるといったメンタルの症状が現れます。さらに、強いストレスで脳が休まらないため、就寝時の激しい食いしばりや歯軋り(はぎしり)を引き起こします。

 

この「腎」の低下は、ダイレクトに歯や骨を脆くします。虫歯になりやすくなったり、歯茎が頻繁に腫れたりする背景には、こうした「気」の乱れが深く関係しているのです。

 

実際、傷んでいる歯を再治療したり、口腔内の汚れをきれいにクリーニングしたりすると、体内の気の流れがガラリと変わり、これらの全身症状が一気に解決することが多々あります。ただし、このような本質的なアプローチを成功させるためには、治療を施す歯科医師や歯科衛生士側のエネルギー(気)が十分に高く、満たされていることが不可欠なのです。